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2006年1月22日 (日)

「獲物の分け前」古くて新しいゾラの世界

 図書館をあてどもなくぶらついていて発見した、エミール・ゾラの「獲物の分け前」。

  時は19世紀のパリ。主要キャラの1人、サカールというオッサンは、とにかくお金大好きで、不動産投機で大儲けをたくらむ。人を騙すのもなんのその。原書はすごい長編で、別の巻では「自分の経営する銀行で、行きすぎた株価吊り上げ工作で破綻」したりもするらしい。最近話題のどなたかにちょっと似ている。

 作者の視線はあくまでもニュートラル。コイツはいいヤツでこっちは悪いヤツ、というのはない。どのキャラクターも平等に、ひたすら冷静に分析的に、そしてちょっと意地悪に描写する。

 サカールの心理を書いた、

「今まで他人を羨んでばかりいた者が溜飲を下げ、まんまと罰を食らわずに済んだペテン師がまた何かアテにする時の、あの喜びであった」

 というところなんかは、笑ってしまう。

 ゾラは名前を知ってるくらいで興味はなかったけど……「獲物の分け前」!この妙にテンションの高い、ワイルドな題名にノックアウトされて借りたら、こんな話だった。てっきり、ある盗賊の生涯、みたいな話かと思ったんだけどな。でもこれはこれでスリリングだし、ある意味では怪談より怖い――なんたってキャラクターが人の皮をかぶった魔物だから。パリ貴族、やはり一枚上手か。

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