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2006年2月21日 (火)

バイオレンス系悪女ならコレ!「バカなヤツらは皆殺し(ヴィルジニ・デパント著)」

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ひとたび犯罪者が銃という凶器を手にしたら、体格も年齢も、性別も関係ない。誰もが等しく危険な凶悪犯になることが可能だ。機械やコンピュータが女性の社会進出に一役かったというなら、銃もまた女悪党の解放に一役かったのではないか。昔なら娼婦でもするのがせいぜいだったような裏街道の女たちにも、今やもう一つの道がある。すなわち殺し屋や強盗といった、従来男のものだった稼業への進出である。

マニュとナディーヌもそんな女たちで、ひょんな出会いから意気投合して強盗二人組となる。その合間にナンパなどして遊ぶが、強盗で得た金があるので、もう男からは金を取らない。そのかわり、気分を害すれば遠慮なく部屋から叩き出し、さらに怒ると殺す。破壊と暴力によって自由を手にした彼女たちは、行く先々でやりたい放題、暴虐の限りを尽くす。

この2人がある日、金持ちの屋敷に盗みに入る。するとたまたま家主がイイ男である。しかも殺されたくない一心か、捨て身で媚を売ってくる。これがもし逆のパターン、男の強盗が美女の家主に遭遇……という状況だったら、まず間違いなく「ごちそうさん」となるだろう。しかしナディーヌは、ここに至って突然、微妙な女心を吐露する。

こんな男に愛撫されたら、ただでさえ毛深い肌にべっとり汗をかいてしまう。きっと、ごつごつの赤い虫になったみたいな気がするだろう。ウンザリだ。

「こんな男」とは、家主が美しすぎることを指す。相手が彼では、自分が見劣りするというのだ。さらに「……されたら」と受身な立場を想定していることから、ありふれた女性的感性の持ち主のようだ。だいたい毛深い肌もなにも、強盗なら自分は服を着たまま、家主だけを脱がせていたぶるのではないか。その程度のサディスト根性すら持ち合わせていない彼女が、どうしてあれだけ極悪非道なふるまいができたのだろう?

そう、この女悪党たちの真の恐ろしさは、時折かいま見せる普通の人間らしさにこそあるのだ。

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