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2006年4月 8日 (土)

「大人の泣き方」考察

*涙に関する基本事項*

○涙は発散であり、ストレス解消法であり、カタルシスである。

○涙は表現方法であり、武器であり、芸術である。泣いている人間を非難したり、蔑んだりしてはいけない。涙を侮る者は、おおむね他のボディランゲージや表現力においても貧しく、生涯それを使いこなすことはできないであろう。

あるとき居酒屋のお座敷席で、いい年の男が、のび太泣き(正座した姿勢から上体を屈め、丸くなって畳に突っ伏して泣く)をやっていた。さらに、そこらの女性を手当たり次第につかまえ、のび太泣き・DEEP(誰かを自分の正面に正座させ、そのひざに突っ伏して泣く)に移行しようと隙を狙っていた。こんなにゲッソリする光景が他にあるだろうか。

まず、姿勢がいけない。のび太は小学生である。大人が真似するものではない。また、着物の時代には風情のあった泣き方も、現代には通用しない。たとえば洋服は和服と違って上下が分かれているため、むやみに背を丸めると、シャツのすそがズボンからはみ出たり、下着が見えたりする。現代人は畳ではなくテーブルに突っ伏そう。

己を客観視する冷静さを忘れ、やたら醜い姿をさらしても、誰も同情はしてくれない。女性はこのことをよく知っている。しかし男性は、作法を習得する以前に、涙そのものを禁じられてきた歴史がある。ともすれば「解禁はされたが、ガイドラインがない」という状況に陥りそうだ。まずは映画などで泣いている俳優を見て、研究してみよう。

かといって何が正しいというのもないわけで、最後は自分のセンス、自分の考え方次第だ。「コレがあたしのやり方」「コレがオレ流だ」という自分なりの美意識とこだわりを持とう。本当に自分なりに考え抜いた結果「のび太泣き」に落ち着いたのであれば、手近な女性をドラえもん代わりにするなどという中途半端な真似ができるわけがないのだ。

*老若男女を問わず使える、大人の泣き方を考えてみました

ベッド・ヴァリエーション

1 お屋敷風

 ベッドの横にひざをつき、ベッドに上半身だけ乗せた状態で、つっぷして泣く。寝具が乱れていると貧乏くさい上、なにやら淫らな雰囲気すら漂うので、事前にきっちりベッドメイクしておくのが良い。ベッドはレースのカーテンや天蓋つきだと、なお良い。

2 「絶望のどん底」風

 ベッドにうつぶせに倒れ、腕に顔をうずめて泣く。ヘタに隠れようとして毛布や掛け布団の中にもぐったり、枕を抱えたりすると格好悪い。あえて堂々とやろう。

 ウォール・ヴァリエーション

1 「涙の別れ」風

 窓辺に立ち、去ってゆく何者かを見送りながら泣く。誰もいなくても、とりあえず窓際で外の景色などを眺めながら泣く。厚いカーテンは開き、レースのカーテンは閉じておこう。

2 「刑期延長が決まった受刑者」風

 壁に向かって立ち、一方の腕に額を押し付け、もう一方のこぶしで壁を叩きながら泣く。壁は部屋の壁でも良いが、できればコンクリートの方がより風情が増す。

3 マッド・サイエンティスト風

 壁に自らの頭を打ちつけながら泣く。ジェスチャー自体にインパクトがあるため、どんな壁を使っても有無を言わさぬ迫力がある。より深い絶望や自己嫌悪を表したければ、さらに強く打って額から流血させるべし。

その他、室内ヴァリエーション

1 悩める詩人風

 部屋の中を、ひたすらグルグル歩き回りながら泣く。たまに髪をかきむしり、おたけびを上げよう。

2 わがまま猫風

 大胆に、床に仰向けに転がって泣く。ただし、あまり手足をバタバタしてはいけない。交差させた腕で軽く顔を覆うとセクシー。

3 「悲劇の商談」風

 机に突っ伏して泣く。散らかっていればいるほど、多忙感と絶望感が増して良い。書類なんぞは、涙で汚してしまおう。

4 「恨みの刃」風

 大きめの魚、もしくは肉の塊を用意する。そこに幾度となく包丁をつき立て、切り刻みながら泣く。「ちくしょう」「死ね」など、掛け声をかけるとより爽快感が増す。

屋外ヴァリエーション

1 青春風

 走りながら泣く。視界が曇っているので、転んだり車にぶつかったりしないように注意しよう。近所に砂浜などがあると、障害物がないので合理的だ。

2 「闇の亡霊」風

 夜の森を駆け回り、絶叫しながら泣く。

3 部族風

 空き地で火を燃やし、その周囲をぐるぐる回って「悲しみの踊り」を踊りながら泣く。ボディペインティングをほどこし、手製の槍などを持ってムードを出そう。

さあ、あなたも今日から涙の達人!

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コメント

このエントリ素敵。

どれもいいけど、私がやってみたいのはやっぱり「部族風」。
ただ、部族風というからには一人ではなく複数でやりたい。
しかし、複数でやるからには、その悲しみは個人の悲しみでは
なく、
そこに居合わせる人に共通のものでなくてはいけない、
ような気がする。

となると何? やっぱり人の死とかに関わることかなあ?
とするとそれって葬式??

一人で自分の失恋を悲しんで部族風泣きとかしてたら……
それもそれで良いか。河原の橋の下あたりでやりたいですな。

投稿: み | 2006年4月 9日 (日) 11時25分

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