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2006年6月25日 (日)

黄色い花の物語

Photo_9  近所で買ったガーベラ。&カスミソウちょっぴり

  それで思い出したある日の出来事……

それは私が川崎に住んでいた頃のこと、

 ウチに向かう途中の彼から電話がかかってきた。私のために花を買ってくれると言う。私は「それなら黄色がいい」と頼んだ。黄色い花は、他の色の花と比べて長持ちする(このことは、題名は忘れたがドイツ人が書いた節約術の本にものっている。決して気のせいではない)。

 私たちの恋も黄色い花のように長持ちしますように。彼はシャイだけど堅実な人。きっと、今度こそうまくいくわ。

 ところが、彼が持ってきたのは真っ赤なバラの花束。理由は、「きみにはやっぱり赤が似合うと思った」からだそう。私はそれを花瓶に生けた。喋っている間、彼は私を見ていなかった。彼はただ、自分が買ってきた花束を、憑かれたようにウットリと眺めていた。

突然、私の頭に、「アメリカン・ビューティ」という映画のワンシーンがよみがえった。中年のおじさんが娘の友達に恋してしまう話なのだが、おじさんの妄想の世界が耽美で笑ってしまう。たとえば、少女がバラの花びらでいっぱいの風呂につかっている。女性のみなさんは、これをさらに頭の中で編集し、バラ風呂に入っている美少年を想像してみよう。真紅の花びらの中から、彼の肩から上と、ひざ小僧だけが見えている。彼はその膝をゆっくりと左右に開き、低くかすれたあま~い声でささやく。

「ねえ……洗ってくれる? オレ、すっげぇ汚れてるから……このままじゃ、おまえの中まで汚しちまいそう……」

とまあ、そんな映画だ(あまり説明になっていないが)。

とにかくそれを思い出したので、彼に言った。

「この花びらをむしって、バスタブに浮かべて一緒にお風呂に入るのと、白いシーツの上にまいてその上で寝るの、どっちがいい?」

彼はそっぽを向いて聞こえないフリをした。それから、話をそらした。

その時とっさに、目に浮かんでしまった。それは私たちの未来の姿。私の目を見ない彼。話しかけても顔をそむける彼。悦びも情熱も早々と失せて、退屈な冷めた夫婦になる私たち。

二週間後、私たちは別れてた。(そして小宮、いまだ独身)

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