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2006年8月 7日 (月)

暑くなると考えることシリーズ④ 金魚虐殺事件

Photo_13  それはいつぞやの真夏の夜のこと、友達が飲み会するというので、出かけていった。さてビアガーデンについて飲み食いしていると、その日はじめて会った人が隣に来て、しゃべり始めた。すらりと背の高いハンサムな会社員で、陽気でノリがいい。最初はゴキゲンなムードだった。

そのうちペットの話になった。私は当時飼っていたウサギの話をした。すると相手は、金魚の恐怖物語を始めた。順調な人生を送る、明るく朗らかな会社員に秘められたもう一つの顔――それはまさしく悪魔の顔だった。

身の毛もよだつ言語道断なその話とは、

彼はせまい水槽で12匹の金魚を飼っていた。そしてエサをやらなかった。飢えた金魚たちは共食いを始めた。その有様がたいへんおもしろかったので、毎日楽しみに見ていた。

あるとき旅行に出かけることになり、一週間ほど留守にした。それから帰ってきて水槽を見ると、金魚が一匹だけになっていた。そいつは他の11匹の金魚との死闘に勝ち残った、最後の金魚だった。他の金魚すべてを食らって丸々と肥え太り、ギャングのボスのような様子で悠々と泳いでいたのであった。

 「だから何だ」といわれそうだが、動物好きの私から見ると大事件なのだ。

 たとえていえば、その場にいた一見ごく普通の人が「実はオレはヒトラー時代にはナチだった」といって、当時の虐殺体験を楽しそうに語りだしてしまったような衝撃、と思ってもらいたい。

 もちろん、食べるために殺すのは悪くないと思う。それに私はスリリングなことが好きだから、闘牛や、猛獣狩りや、カジキマグロ釣りが楽しい気持ちもよくわかる。

しかし、金魚ほど無抵抗で小さい生き物をいたぶる精神はわからない。小学生ならまだしも、どうして二十歳すぎてまで、金魚のバトルロワイヤルなんかやって喜んでいるんだろうか。不思議だ。そしてこれは私の中で、どんな心霊体験よりも怪奇な出会い――怪人物とは、案外思いがけないところに潜んでいるものなのかもしれない。

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