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2006年9月 4日 (月)

曾祖母伝説の謎

Photo_16  子供の頃から、繰り返し聞かされた怪談がある。それはおばあちゃんの母、つまり私のひいおばあちゃんに当たる女性の話だ。すべて実際にあった出来事である。

ひいおばあちゃんが10歳の頃、相次いで両親を亡くした。土地も財産も親戚の人々に騙し取られ、かろうじて残された屋敷で14歳になる兄と寂しく暮らしていた(家政婦のような人はいたのかもしれないが、定かではない)。

悲しいからイタコ(霊媒師)のところへ行って、死んだ母を呼び出してもらった。するとそのイタコが、母しか知るはずのない家のことを、こまかく語ったり、指示したりする。たとえば、どの部屋の箪笥の何段目にこういう色柄のキモノが入っている、などと言う。急いで家に帰ると、本当に言われた場所にその色柄のキモノがある。

喜んだひいおばあちゃんは、小遣いを持って何度もそのイタコに通い、母の霊と対話していたという。

というのが、我が家に伝わる怪奇伝説だ(祖母などはこれをまるで「おしん」のごとく、実にウェットに、ドラマチックに語ったものだ)。

一つ言いたいのは、私は決して霊能力者を擁護しない。わらにもすがる思いの孤児から霊視と称して金を取るとは、なんということだ。しかし当時のイタコとは、全盲ではないまでもほとんど見えなかったり、何かハンディキャップのある人がやっていたそうだ。彼女も食べていかねばならないから仕方ない。それに子供が通えるくらいだから、そう高額でもなかっただろう。

不思議なのは、どうしてそのイタコが、他人の家のことをそんなにこまかく言い当てることができたのかだ。

おもしろいことに、彼女はTVに出てくる霊媒師のように「兄と協力してしっかり生きていきなさい」などと、抽象的なことは言わない。助言の内容が非常に具体的なのだ。べつに抽象的なことや哲学的なことを言われたからありがたみが増すというわけではないが、家事雑事についてあれこれ指示する霊というのも、なにやらせせこましい。

考えてみれば、お説教や、ありがたいお話を聞きたいなら、お坊さんのところへ行けばいいのだ。霊媒師とはより庶民的なもの、より生々しく個人の生活と密着したものだったのではないだろうか(現代のTV霊媒師はそのへんの境が曖昧になっていて、お坊さんのようなことを言ったりする)。

そのひいおばあちゃんも、私が生まれる前に亡くなった。だから直接話をきくことはできなかった。この話の真相は、もう誰にもわからない。

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コメント

こんにちは はるばるやってまいりました。さまよっているうちに、また、あなたとお会いできたというわけです。

ご無沙汰しているうちに、私は74歳になってしまいました。

あなたは、曾お祖母ちゃんの物語まで聞けて、素敵ですね。残念ながら、私などおばあちゃんどころか母親でさえも、5歳のときに亡くなって、昔の我が家のことなど知る術もありませんでした。

私は、今、ひとりぼっちです。思えば最初から一人ぼっちだったなあと、感慨深く思っております。

お祖母ちゃんのお話をまた聞かせてください。楽しみにしています。

投稿: ゴーティエ | 2006年9月 4日 (月) 09時57分

ゴーティエ様
ご再訪とコメントありがとうございます。

昔いろんな話をしてくれたうちの祖母も、今はもう何もわからなくなって、地蔵のようにただ重~く存在しております。長生きの親というのも、けっこうたいへんです。

そんなわけで私は、「短くも長くもない、ちょうどいい寿命」は天使からの特別な贈り物だと思っています。

ゴーティエ様のお母様は、短かすぎてしまったのですね。でも苦労なさったにもかかわらず、ひとりでもたくましくここまで生き延びてこられたのですね。

投稿: 小宮 | 2006年9月 7日 (木) 22時11分

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