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2006年11月12日 (日)

「みんな行ってしまう」マイケル・マーシャル・スミス

448872101x01_aa240_sclzzzzzzz_1 大好きなSF作家マイケル・マーシャル・スミスの短編集。長編でも生かされているエッセンスを色々見つけることができて、個人的にはとても貴重な一冊なのだが、

「訳者のあとがき」最低!!

嶋田洋一とかいう訳者が個々の作品について、偉そうに見当ハズレの批評を並べている。たとえば

「前半はややだれるが、後半はテンポよく話が進行する。ただ前半と後半のつながりがよくない感じ」

「前半がやや冗長なのはいつもの悪い癖」

「もう一ひねりあれば傑作になったと思うのだが、ちょっと残念」

こんなこと、訳した本人が、わざわざその本のあとがきで言う必要あるんでしょうか?

これが本書とはまったく別のところ、たとえばSF雑誌の評論か何かに掲載されていたのなら、べつにいいと思う。しかしこれは、当の文庫の「訳者のあとがき」に書いてあるのだ。

 訳者は翻訳だけきちんとやってくれればいいのであって、批評まで書いてくれなくてもいい。作品解説は、それが書かれた年と、どんな雑誌に発表されたか、くらいで充分だと思う。おもしろいかどうかは、この本を買った読者が判断することだ。

 第一この嶋田洋一、自分の感性で勝手に誉めたりけなしたりしているが、作品を読んだ私はまったく別の感想を持っている。たとえば「見知らぬ旧知」という作品について「前半がやや冗長なのはいつもの悪い癖」などと言うが、私にはこの前半部分こそが重要で、とても深く共感できる部分なのだ。また表題作の「みんな行ってしまう」について「ごく短い作品だが、どこか懐かしさを覚えるような、とてもいい味を出している」と誉めているが、もうまったく私と感性が正反対らしいとしか言いようがない。

 とにかく、訳者は批評や感想なんか書かなくてよい。

この嶋田洋一という人は、どういう人なのか知らないが、いったい何様のつもりなのか。マイケル・マーシャル・スミスの他の作品も訳しているから、ちょっとしたスペシャリスト気分なのだろうか。

 でも、本を買っている私から見れば、訳者はただの訳者。

訳者とは何か?

海外作家と、そしてそれを愛する私たち読者の下僕です。黒子です。透明人間です。立場をわきまえてください。

べつに男だからって差別するわけじゃないけど、女性の翻訳者ならこんな出過ぎた真似をして読者の気分をぶち壊しにしたりはしないのに。少なくとも私は、あとがきで批判めいたことを書いている女性の訳者は見たことがない。私もずいぶんいろいろな海外小説を読んできたが、自分が訳した本の中でこんな軽薄で幼稚な批判を書いて本の値打ちを下げている人は初めて見た。

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コメント

妖魔さん こんばんは お久しぶりです。
また、お会いしましたね!

あなたのおっしゃるとおりでございます。
いったい、訳者がその作品を批判して
どうするのでしょう。
まったくのお笑い種です。

もう、そんな訳者の翻訳作品読むのはおやめなさいナ。
原書でお読みになるのが得策です。
1行1行、辞書を引きつつ読んだ後の、満足感。
それに、次に読むときは、ずっと早く読めますよ。
この私でさえ、それに挑戦したのは、
つい、数年前のことですもの。

また、お会いしましょう。夢の中で。

投稿: ゴーティエ | 2006年11月14日 (火) 22時36分

ゴーティエさま、こんばんは。
またお会いできて嬉しいです。

本当ですね。
私も学生の頃は、まだ訳が出ていない原書を手に入れて楽しく読んだものでした。
ゴーティエさんはいくつになっても勉強家でいらして、すごいですね。
出版でも物作りでも、みんながそんな新鮮な気持ちや楽しい気持ちでお仕事できたら、きっとすてきな世の中になるのでしょうね。

何をお読みになっているのかいつか教えてください。
それではまた、夢の中で^^

投稿: 小宮 | 2006年11月19日 (日) 23時05分

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