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2007年7月23日 (月)

10代で人妻になることの悲劇!?

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 フロベール著「ボヴァリー夫人」、中央公論社「世界の文学」第15巻より。ちなみに、よく見たら訳者は森鴎外の孫の山田ジャック(←ちゃんと漢字があるのだが、変わった字なので変換できず。この本を読むとなかなかすごい人だったことがわかる)。

ちょっとサスペンスにも似て、次々と事件が起こる。長いのに妙にスリリングで、最後まで目が離せない。私の支持する恋愛小説 №1は永遠に「チャタレイ夫人の恋人」だから、これは二番目におもしろい。でも「ボヴァリー夫人」は(正式にはどういう分類なのかは知らないが)、私には恋愛小説というより青春小説のように思える。若者の反逆や暴走などが破滅と死という形で幕を閉じる青春映画に、近いものを感じるからだ。

修道院から帰ってきてすぐ、村医者のボヴァリーと結婚させられた少女エンマ。結婚当時まだ17くらいで、やみくもにパリに憧れてみたり、めいっぱいオシャレしたり、危険な恋におぼれてみたりする。これが現代なら、若者がハメを外しつつも人生を模索しているような状態なのだが、彼女はすでに一家の主婦。自分を縛る枷が親ではなく夫であるため、怒りや軽蔑や非難など、反抗期の若者が親に抱くような感情の矛先がすべて夫に向けられることになる。彼女が本当に欲しかったのは、不倫の恋でも都会でもなく、人生の意味だったはずだ。でもそれは見つからない。そんな中で出入りの呉服屋に騙されて全財産を巻き上げられ、自殺するまでが描かれる。

「呉服屋」と訳されているが、これがちょっと不思議な存在で、訪問販売みたいな何でも屋が、わざわざ家まで注文をとりに来たり、洋服生地やレースや小物を見せてムリヤリ売りつける。そして「代金は後でいい」と言ったり、手形を書かせたり、不動産を売らせたりもする。物語中いちばんの汚れ役だが、堂々とエンマの葬式にあらわれるなど、有無を言わさぬところがある。でもおもしろいのはなんといっても薬屋のオヤジで、独特の存在感を放っている。そう、副題に「地方風俗」とある通り、1800年代のフランスの田舎町の生活や風習や人々がとてつもなく丁寧に描かれているのだ。

 ルーアンといえば、西洋美術史の授業で「ノートル=ダム大聖堂」の写真を見ながら勉強させられたが、教授が知識バカのぼんくらだから、おもしろくもなんともなかった。この物語では、エンマが二番目の不倫相手レオンとこっそり会う時の待ち合わせ場所として登場している。だから私にとってのノートル=ダム大聖堂といえば、学校で習った大聖堂ではなくて、エンマとレオン(もしかしたらその他大勢の人たち)が密会した背徳の大聖堂なのです。

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コメント

妖魔さんこんばんは
いちごの図書室から古い本を見つけ出して
読んでくれてありがとう。
いちごの図書室は、
古いけれどおもしろい本がいっぱいありますので、
どうぞまた借りてください。

投稿: 貴市呉いちご | 2007年8月31日 (金) 22時45分

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