« * 追加 * | トップページ | オールキャラ・アウトロー「ジャンパー」 »

2008年3月 2日 (日)

わたしのターミネーター君

002  昔、知り合いにちょっと変な男がいて、「その時計どこで買ったの?」ときくと「2時30分」と答え、「好きな果物は?」ときくとなぜか「消防署」という返事が返ってくる。当然会話もちぐはぐで、口論ともなるとポカンとして一言も言い返せない。とても知的とは思えない。ところが不思議なことに、そんな彼がチェスだけはきちんとできる(少なくとも私よりはまともにできる)。だから私はチェスが「知的なゲーム」と言われても到底信じられない。少なくとも、私とは脳の構造が違う人間の好むゲームなのは確かだ。

 他にも何人かのチェス好きな人と遭遇したし、中には親切に教えてくれようとした人もいる。ただ私はこういうことが本当に苦手で、手も足も出ない。興味がないとか本気を出していないとかいう問題ではなく、とにかくダメなのだ。

 あるとき友達夫婦の家に遊びに行ったら、旦那さんがチェスボードを出してきた。すると奥さんが急にプンとして「あたしやらない」とあっちへ行ってしまった。そこでだいたい予想はついたのだが、「客であるあたしに対して、まさかね」という思いもあり、おそるおそる相手になったところ、案の定ぜんぜん手加減してくれずに大勝ちしている。ご満悦な旦那さん。こんな調子なので、「フン、あんなしちめんどくさいゲームのどこがいいのよ。まったく男って、バカじゃないの!?」とイヤになり、長らく手をつけていなかった。

ところが、そんな私にチェスの素晴らしさを納得させてしまった彼が一人だけいる。それは「ターミネーター君」。彼は人間ではなく、パソコンに入っていたチェスゲームのソフトなのです。これをなんとなくいじっているうち、実に良くできたゲームだと気付いた。今では、あれをおもしろがる人の気持ちがよくわかる。

 ところで「ターミネーター君」という名のソフトがあるわけではなく、架空の対戦相手に、私が勝手に名付けた。なぜかというと、

映画「ターミネーター2」の中で、サラが、人間の男よりもロボットの方がいい父親になりうることに気付いてしまうシーンがある。その理由はうろ覚えだが確か「酒も飲まない、暴力もふるわない。ただひたすらジョン(息子)を守ることだけを考える……」といったようなモノローグ。

チェスのコンピューターソフトもそれと同じで、機械だからこその良さがある。わたしのターミネーター君は焦らない。決して強要しない。レベルを合わせてくれる。無言のまま、自分の動きによって穏やかに的確に手本を示してくれる。初級モードでもぜんぜん勝てないド下手な私に、常に変わらず淡々と、限りなく辛抱強く、相手になってくれる。何より私に勝っても喜んだり、得意になったり、嘲笑ったりしないので、負けても腹が立たない(ここが重要!)

ちなみに「負けた悔しさをバネにする」という言葉がある。これはよっぽど好きなことをしているか、もしくはそれまで別の方面で散々勝利してきた蓄積があり、はじめてプライドがへし折られたような人にしか当てはまらない。苦手なことにおそるおそる手を出している時にバネも何もないんである。

ということは、これからの時代、何か新しく始めるときは、「人間の先生」と「コンピューターの先生」を、適当に上手に使い分けていくと良いのではないかと思う。たとえば下手な生徒にイライラしてばかりいる自動車教習所の先生なんかはいっそロボットになって欲しい。

|

« * 追加 * | トップページ | オールキャラ・アウトロー「ジャンパー」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/28889/10885191

この記事へのトラックバック一覧です: わたしのターミネーター君:

« * 追加 * | トップページ | オールキャラ・アウトロー「ジャンパー」 »