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2008年3月 9日 (日)

オールキャラ・アウトロー「ジャンパー」

Poster021  間違っても超能力→ヒーローという図式には従わない快楽主義の若者デヴィッド。さらに、父も変人、母も変人、敵も変人なら仲間も変人といった具合で、真に良心的な大人が存在しない。いわば「変人と変人のぶつかり合い」とでもいったような映画である。

マイナーな者同士が大真面目に衝突している点や、独特の人間関係は、なんだかネット社会を連想させる。とても現代的な映画。

唯一マトモなのは何の力も持たないミリーで、主人公は彼女を守ることでかろうじて堅実さを表現する。

 

「ジャンパー」とは、生まれつき瞬間移動の超能力を持つ人々(しかし団結力はない)。瞬間移動できるから、悪いこともする。彼らを追うパラディンという組織はあるが、取り締まるというより、虐殺するしか能がない。これだけの技術と組織力があるなら、ジャンパーの少年院でも作って躾けたらどうかと思うのだが(5歳でジャンパーだとわかるなら、教育次第では大活躍しそうだ)。

抹殺人のローランドというのがまた、非常に憎たらしい感じの、許しがたいオヤジである。彼らに孤児にされた先輩ジャンパー・グリフィンのひねくれぶりがハンパではなく、殺伐とした世界を表現している。

デヴィッドの母も、自分がそばについていてどうにかしようという気はさらさらなく、親の務めよりも己の信念を優先させた形だ。しかしこのラストは良いと思う。巷に多いマザコン監督には、こんなふうな個人対個人という形の母子描写はなかなかできない。

 それにしても、15歳のデヴィッドがジャンプ能力に目覚め、家出して銀行強盗になって自由気ままな一人暮らしを始めるあたり、もしも私が15歳の時に観たら涙を流してうらやましがったに違いない。夢のような状況だ。

 ところがその後の、帯電ワイヤーやネットランチャー(?)でお仕置きされる時の悲鳴は聞いているだけでイタイ。胃がむずむずしてくる。苦痛の表現が見事だ。デヴィッド役の俳優、上手い。

そんなわけで、

ワルぶって調子に乗っていた若造が、世の中にはもっとイカれたヤツやもっと恐ろしい連中がいるんだということを知って、痛い目に遭い、ちょっとイイコになって帰ってくる……という、ハリウッド映画にありがちなプロット。この筋立てはホラー映画や怪談にも通じるものがあって、私はけっこう好きだ。

ちなみにハヤカワ文庫から原作が出ているのを発見した。いずれこれも読んでみたい。

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