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2008年5月18日 (日)

「スパイダーウィックの謎」を観た

 妖精たちを研究し尽くした大伯父アーサー。彼が記した「妖精図鑑」を、屋敷に引っ越してきた少年ジャレッドが偶然発見した。世界制覇をたくらむ邪悪なゴブリンたちが、その本を奪い取ろうとして襲ってくる。

 なんだか「そもそも本とは何か」という、基本の部分というか歴史的な部分に立ち返ったような気分で観た。大昔は知識を持てるのは特権階級だけだった。ゴブリンの大ボスのように「妖精図鑑さえあれば世界を征服できる」と言うのは大げさかもしれないが、確かに情報や知識には力があり、本がそれを象徴する。ルシンダおばさんが「この本のおかげでわたしたち家族はさんざん苦しめられた」と言うとおり、書物とはある意味で恐ろしいものであり、そして情報管理とは重大責任を伴うもの……。そんな、とっても哲学的なお話。

サスペンス映画でいえば「世界各国の機密情報が記録されたマイクロチップをひょんなことから手に入れてしまい、CIAに命を狙われる話」みたいな大筋なのです。妖精図鑑には妖精たちの秘密や弱点も書かれているため、これが悪の手に渡ると、世界が滅びるという(正確には妖精が滅びるのであって、人間社会が滅びるわけではないような気がする。このあたりの関連性はあまり詳しく説明されていないのでよくわからないが、水の精や土の精が消える→草木が枯れてゆくゆくは人間も生活できなくなる、という意味なのかもしれない)。

個人的にグッサリきたのは、

「この本は私の人生だ」と言うアーサーおじさんに対して、ジャレッド少年が「あなたの人生はもう終わった」と言い放つ。なんという明快さ、なんという残酷さだろう。こんなセリフ東洋では許されないような気がする(そしてこれが邦画や日本のアニメだったら、アーサーおじさんがあいかわらず重要な役割を果たすキャラクターとして君臨しそうだ)。しかしアーサーは「おまえは本を読んで記憶しただろう。これからはおまえが本だ」とさらっと世代交代して引っこみ、人間界はもとより妖精界でもとくに地位がない。たんなる楽隠居のおじいさんといった風情なのだ(ところであの異次元のリゾート地みたいなところは、なかなか良い。年とったらみんなあそこへ連れ去ってくれるのなら苦労がなくていい)。

51pg5dbjsl_sl500_aa240_1  私は最初に書店で「妖精図鑑」を立ち読みして、妖精のデザインがおもしろかったので、映画も観た。ただ、映画にはあんまり色々な種類の妖精が出てこない。悪役ゴブリン軍はかわいい。能力からいっても頭数からいっても、本当に恐ろしいのはだんぜん風の精の方である。

 それにしても、なんというきっちりと整理されたストーリーだろう。ゴブリンのボスが父に変身して話しかけてくるところは、お約束ではあるのだが、スリリングでインパクトのあるシーンだ。これをちゃんとクライマックスにもってくるのだなあ。

 

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