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2008年8月 4日 (月)

「パンズ・ラビリンス」

Images1  映画館で観ようと思いつつ見逃したので、DVD借りてみた。

 パンズって何だろう、と思っていたら、作中に登場するガイド役の妖怪が「パン」という。私は西洋神話でいうパンとフォーンの違いがよくわからない。やぎベースのフォーンに対し、パンは羊ベースのクリーチャーということなのか?

 母の再婚のため山奥の駐屯地へやってきた少女オフィリア。着いてみたら家は古くて怖いし、新しい父は拷問好きのあぶない鬼大尉だし、妊婦の母は病気になるし、唯一信頼をよせた家政婦は実はゲリラのスパイ……と、きわどい事態が続く。それと平行して少女のまわりに妖精があらわれ、「あなたは地下世界の王女の生まれ変わりだ」と告げられるなど、ファンタジー世界が展開してゆく。パンは、地底王国に戻るためには3つの試練をクリアせねばならないと言う。

オフィリアのお洋服がかわいい。おめめの怪物と「第二の試練の部屋」が一番ゴージャスでステキ。メイド兼スパイのメルセデスはある意味働く女代表(大尉に「ブタは死ね」とか言い放つあたり、きっとすごいカタルシスだ)。

 現実世界は現実世界、ファンタジー部分はファンタジー部分で、それぞれが物語として完結しているところがおもしろい。

 現実と幻想世界が並行する話の場合、現実は平和であることが多い(主人公が個人的に不幸というパターンはあるものの)。現実世界にも戦争などの深刻な状況を持ってくるのは、なんとなくヨーロッパ映画的だ。決して平和なときの贅沢ではなく「いっぱいいっぱいの時こそファンタジーだ!」という粋のようなたくましさのような感じもする。

 オフィリアの現実で、もし自分だったらどう立ち回るかを考えながら観たが、けっきょく彼女にできることはあまりない。まじないで母を治療しようと木の根っこに牛乳をやっていたのを見つかり「魔法なんてないんだから」と怒られるが、「じゃあどうすりゃいいんだよ」としか言いようがない状況なのだ。

 ところで、地底王国とはいったい何なのだろう。その全容はよくわからないままだが、ラストの映像からすると魑魅魍魎や悪魔の国ではないらしい。しかし地底に存在する「美しくて苦労のない国」といったら、ようするに冥界ではないのか。だからそこへ行くためにはいずれにせよ一回死なねばならないのか、と妙に納得してしまった。名前からしてなんとなく不吉な感じがしたんだ、オフィリア。それでも彼女にはファンタジーがあるから、あれでけっこう幸せだったんだと思う。

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